スポーツ科学関連の用語を一覧にまとめた単語検索ができます。
スポーツ科学入門に活用ください。運動能力、運動生理学、スポーツと障害、トレーニングの領域を紹介。
スポーツ科学用語検索
スポーツ用語 | 意味 |
---|---|
スポ-ツスキル sports skill | スポーツ技能を修得するための能力のこと。具体的には、(1)視覚、聴覚、筋の運動感覚によって身体の動きに必要な情報を集め、推測して状況を把握する能力、(2)動作に必要な姿勢を作るポジショニング、動作のタイミング、グレーディング(出力調節)を正確に行う能力、(3)反応・動作の開始や切り替えを素早く行う能力、(4)持久力や集中力を持続させる能力、といった4つの要素からなる。新しくスポーツを始めると最初のうちは急速に上達するが、通常はあるレベルまで達すると、それ以上は伸び悩むようになる。そこでスポーツスキルを向上させ、より高度な身体能力を引き出すための指導法や学習方法が、さまざまな分野で開発されつつある。 |
運動能力 physical strength | 体力や作業能力ともよばれる。比較的簡単な運動を行わせた時の成績(パフォーマンス)と生理機能の測定値によって評価するが、成績は技術にも左右されるので生理機能の優劣だけでは決まらない。運動能力を決定する因子には体格、体型、体構成、姿勢、心肺機能、最大酸素摂取量、最大酸素負債量、筋力、筋持久力、瞬発力、敏捷性、巧緻性、平衡性、柔軟性などがある。基本的な運動能力は筋力、筋持久力、瞬発力によって決まるが、スポーツによっては敏捷性、巧緻性、平衡性、柔軟性が重要な因子になることもある。また、広い意味での運動能力は状況に対する判断能力や意志の強さ、さらにチームプレーでは戦略を決定する能力や他人との協調性といった因子も関係する。 |
筋力 muscle strength | 筋肉の収縮によって最高に出せる力のことで、最大筋力ともよばれる。短距離走、走り幅跳び、サッカー、ボクシングなどのスポーツに必要。握力、背筋力、腕力、脚筋力など筋肉をゆっくり収縮させる静的筋力の最大値で測定する。単位面積当たりの筋力は男女とも1平方センチあたり4~8キログラムと差がないが、発揮される筋力の強さは横断面積に比例するため、筋量が少ない女性の筋力は男性の約60%である。 |
筋持久力 muscular endurance | 筋肉への負荷と最大筋力の比率を一定にした上で収縮頻度を一定にして筋収縮を行わせ、その回数の最大値を測定する動的筋持久力と静的な筋収縮を用いて最大持続時間を測定する静的筋持久力がある。前者は懸垂腕屈伸、腕立伏臥腕屈伸、上体起こし、ジャンプ持久力の回数、後者は屈腕時間懸垂、脚挙上保持時間、上体起こし保持時間、上体反らし保持時間で判定することが多い。筋持久力については男女ともほぼ同じ能力である。水泳、サッカー、長距離走、マラソン、ジョギング、サイクリング、登山などのスポーツに必要である。 |
瞬発力 starting power | 短時間のパワーのこと。瞬発力は運動中の力と速度を測定することで算出する。垂直跳びでは体重と重心の垂直方向への移動距離の積を時間で割ると脚筋の瞬発力が算出される。垂直跳び、立幅跳び、走り幅跳び、ダッシュは脚筋、ソフトボール投げとハンドボール投げは上肢筋の瞬発力を測定する。短距離走、走り幅跳び、サッカーなどのスポーツに必要。瞬発力については脚筋、上肢筋ともに女性は男性の50%程度と性差がある。 |
敏捷性 agility | 刺激が与えられてから行動を起こすまでの時間や反復運動に要する時間のこと。中枢神経の判断時間、神経の伝達速度、筋肉の収縮速度と関係し、短いほど敏捷性が高い。バドミントン、テニス、卓球、スキー、野球などのスポーツに必要。光や音の信号に対して手指で電鍵を押すまでの時間である単位反応時間で判定する。その他にも一定距離をサイドステップする反復横跳びの回数、落下する棒を握るまでの棒反応時間、立位と腕立伏臥姿勢を繰り返す回数、方向変更走や往復走の所要時間などでも評価できる。合図を受けてからなるべく早く動作を行ったり、反復運動をできるだけ早く繰り返すことで高めることができる。筋力が強いほど加速度が大きくなるので優れていることが多く、体脂肪が低いほど高くなる傾向がある。女性の敏捷性は男性の約85%と男女差は少ない。 |
巧緻性 elaborate | 運動の目的に合わせて巧みに調節された能率的な動作のことで、各種スポーツの技能と技術に関する運動能力である。スキルテストともよばれるスポーツの技能テストのほとんどは巧緻性テストである。ゴルフ、サッカー、野球、バスケットボール、柔道、フィギュアスケート、ボウリングなどのスポーツに必要。ジグザグドリブル、シャトルラン、跳び越しくぐりなどの運動で評価する。巧緻性に関しては男女間の差はほとんど認められない。 |
平衡性 balance | 身体のバランスを保つ能力。体の重心の移動を行うことが多いスポーツに必要な運動能力で、サッカー、バスケットボール、野球、柔道などのスポーツに必要。中閉眼片足立ちや閉眼片足起立テストで判定する。中閉眼片足立ちは素足になり腰に手を当てた状態で利き足で片足立ちをし、両眼を閉じてからバランスを崩すまでの時間を測定する。運動中の姿勢(フォーム)がいいと運動の効率がよくなることから、姿勢と関連が高い平衡性はスポーツ選手にとって重要な運動能力といえる。運動中だけでなく姿勢が取りにくい片足立ちや閉眼などで姿勢を保持することで高められる。20歳前後では男性が女性をわずかに上まわるが、25歳以上の男女では差はまったくない。 |
柔軟性 flexibility | 一つまたは複数の関節の運動可能な最大範囲のことで、身体の柔らかさに関する運動能力である。陸上のハードル、水泳の飛び込み、体操、新体操などのスポーツに必要。立位体前屈、体後屈、体側屈、伏臥位上体反らし、足の前後開きなどの角度で評価する。角度でなく距離で判定することがあるが、その場合は身長が高いほど測定値が大きくなる。柔軟性のテストは反動をつけないで測定することが大切になる。関節を十分に動かすことやストレッチを必要とするスポーツをすることで高められる。柔軟性は女性が優れているが、背筋力を必要とする伏臥位上体反らしは男女差が認められない。 |
運動強度 exercise intensity | 運動によって体にかかる負担を、数値に換算したもの。時間あたりのエネルギー消費量で表され、基本単位にはキロカロリー毎分を用いる。トレーニングや指導の際に、どの程度の強さの運動を、どれぐらいの時間・頻度で行えば効率的で安全か、を示す目安となる。正確な指標としては、活動時の総エネルギー代謝量から基礎代謝量を引き、さらに基礎代謝量で割った値で算出するエネルギー代謝率(RMR)、最大酸素摂取量の何パーセントで運動を続けられるかを測定する酸素摂取水準(VO2max)、安静時と対比させたエネルギー消費量から運動強度を割り出すメッツ(METs ; metabolic equivalents)などがある。また手軽にチェックできる方法では、心拍数も運動強度の尺度となる。220から自分の年齢を差し引いた数値を最大心拍数とし、その50~70%範囲にあれば効果的で安全な運動の強さである、という目安になる。 |
日本転倒予防学会(JSFP) Japanese society for fall prevention | 高齢者に多い転倒について、予防法の普及や啓発を目的とする学会。2004年にスタートした転倒予防医学研究会を改編し、医療や介護分野の専門家が中心となって14年4月に発足した。65歳以上の高齢者の転倒は、大腿骨骨折や頭部外傷などの傷害を招き、その結果、寝たきりになることも多いことから社会問題となっている。さらに近年では、転倒によって死亡する転倒死事故が急増し、国内だけで年間7000件を超えている。特に運動習慣のない人は、筋肉量の低下だけでなく、バランス感覚が衰えているために転ぶことが多い。そこで学会理事長を務める東京大学の武藤芳照教授は、転倒予防のためのストレッチや筋力増強運動、歩行指導などからなる「転ばぬ体操」を提唱した。中でも手軽にできるのは継ぎ足歩行で、片足のつま先に、もう片方の足のかかとを付けるようにしながら一直線上を歩く。また靴を覆く、浴槽に入るといった、何気ない動作の時に片足で立つこともバランス感覚の鍛錬になる。 |
運動生理学 exercise physiology | 生理学は消化、呼吸、代謝、感覚などの生理機能を研究する医学の一分野である。運動生理学は運動を人間の基本的な機能の一つとしてとらえ、特に運動中における生理機能を生理学的な手法で研究する。運動前、運動中、運動後における人体の機能と構造の変化などを研究する学問。 |
バイオメカニクス biomechanics | 力学を応用したところで、人間の運動体系の研究を行うもので、生体力学とも呼ばれる学問分野。解剖学、生理学、運動生理学、スポーツ医学、体育学、機械工学、力学など、広範囲の関連分野を有している。生物現象を力学的アプローチによって解明することを目的とし、フォームに重点を置く動作学と、エネルギーを重視する運動力学がある。バイオメカニクスの理論はスキー用品、スポーツシューズ、競泳用水着などの開発にも応用されている。コンピューターやバイオテクノロジーの急速な発達に伴って、今後は飛躍的な進歩が期待されている。 |
ホメオスタシス homeostasis | ストレスになりうる外界の環境変化に対し、生体の状態を一定に保とうとする、生物に備わったシステムのこと。健康を定義する重要な要素でもある。アメリカの生理学者ウォルター・キャノンが、ギリシャ語の「homeo(同一の)」と「stasis(状態)」を合成して命名した造語で、日本語では生体恒常性と訳される。生体の恒常性を保つためには、変化した状態を元に戻そうとする働きが必要になる。人間は体温、血圧、血糖値などを一定に保ち、病原菌を排除することで健康を維持しているが、そこには体の働きを調整する自律神経系、ホルモン分泌をコントロールする内分泌系、病原菌から体を守る免疫系という3つが重要な役割を果たしている。 |
筋肉 muscle | 筋肉は動物の運動器官である。骨に付着している骨格筋、心筋、内臓に存在する平滑筋の3種類の筋肉があるが、運動は骨格筋の収縮によってなされる。筋肉の収縮には、筋肉が収縮しても関節は動かない等尺性収縮(isometric contraction)と、筋肉の収縮とともに関節も動く等張性収縮(等張力収縮 isotonic contraction)がある。前者は重いものを一定の高さに保持したり支える時、後者は軽いものを投げたり移動させる時にみられる。筋肉を強化するには、等尺性収縮よりも等張性収縮を用いたトレーニングの方が効果的である。速い運動では筋の速い収縮、姿勢の維持には筋の持続性収縮が必要となるので、筋肉中には速い収縮のための速動筋線維と持続性収縮のための緩徐筋線維がある。肉眼的には、速動筋線維は白く見えるので白筋(はっきん)、緩徐筋線維は赤く見えるので赤筋(せっきん)とよばれる。筋肉中の血流量と血管の容積が大きいために赤く見える赤筋は、酸化エネルギーの貯蔵に適しており、疲労しにくく、姿勢の維持に適している。 |
インナーマッスル innner muscle | 白い筋肉とも呼ばれるインナーマッスルは、反射神経にかかわる動作の時に使う筋肉、あるいは力を抜いて動作する時に使う筋肉のこと。このインナーマッスルを鍛えるトレーニング法として、広く行われているのが、ゴム製のチューブやバンドを使ったチューブトレーニング(tube training)である。チューブトレーニングは、チュービングトレーニング、ラバーバンドトレーニングとも呼ばれる、筋力トレーニング法の一種である。ゴムが引き伸ばされる時に生じる張力が、伸ばす距離に応じて強まるため、運動強度を自由に変えられるという特徴がある。また、チューブやバンドは軽量かつコンパクトなので、携帯も便利である。こうしたことから健康のためのスポーツ、スポーツ選手の筋力強化といった分野だけでなく、病院でのリハビリテーションにも広く使われている。 |
血中乳酸濃度指標(OBLA) onset of blood lactate accumulation | 血液中の乳酸濃度が、1リットルあたり4ミリモル(92ミリグラム)となるポイントのこと。乳酸は運動時の筋肉で大量に生産され、血液中に放出される。実際に安静時から徐々に運動負荷を上げていくと、あるポイントから血中乳酸値が上昇しはじめる。このポイントを乳酸性作業閾値(LT ; lactate threshold)という。たとえば持久性運動では、筋肉を動かすATP(アデノシン3リン酸)という物質を使いながら、合成し続けなければならない。運動負荷が小さいときは、体内の糖分が酸素を利用してATPに変化し、筋肉でエネルギーとして取り出された後に二酸化炭素と水になる酸化系というシステムが機能する。運動負荷が大きくなると、酸素を介して合成されるATPだけでは不足なので、酸素を介さないでATPを合成する解糖系という機能が働いて、乳酸が生産される。血中乳酸濃度の正常値は、測定法によって異なるが、ピルビン酸を基質としたときの基準範囲は1リットルあたり200~400 IU(国際単位)である。 |
有酸素エネルギー/無酸素エネルギー aerobic energy :anaerobic energy | 筋肉の収縮に使われるエネルギーはATP(アデノシン三リン酸)という物質が必要になる。体内に貯蔵されたATPを利用する無酸素運動はATPが消失する20秒で終了する。一方、酸素の供給によって作られるのが自家発電型の有酸素運動に使われる有酸素エネルギーである。無酸素運動は急な運動にエネルギーを供給できるが、持続性がないのに対して、有酸素運動は急には対応できないが、酸素の供給が続く限りエネルギーを供給し続けられる。 |
エネルギー代謝 energy metabolism | 生命維持のためのエネルギー消費量のこと。人間は食事で摂取した栄養素を酸化することによって発生したエネルギーを利用して生きている。生きていくための最少必要量である基礎代謝(basal metabolism)は性別、年齢、体格などに左右されるが、日本人の1日量は成人男子が1400キロカロリー、成人女子は1200キロカロリーである。中等度の労働をした男子の1日量は2200~2500キロカロリーである。 |
グルット4(GLUT4) glut four | 筋肉中に存在するたんぱく質の一種で、グルコース輸送体と呼ばれる。血液中のグルコース(ブドウ糖)を筋肉の細胞内に取り込む機能があり、活発に働けば余分な糖分が減少し、血糖値を下げることができる。通常、グルット4は膵臓(すいぞう)から分泌されたインスリンの命令によって活性化する。インスリン分泌量が低下している場合は、有酸素運動や筋肉トレーニングなど、筋肉の収縮をともなった運動を行うことでも活性化できる。運動によって筋肉量を増やせば、グルット4も増加する。 |
ミサイル栄養 nutrition missile | 筋肉に貯蔵されたグリコーゲンの補充や、損傷した筋肉の速やかな修復に効果的なアミノ酸の補給法。早稲田大学の鈴木正成教授によって提唱されている。私たちが1日3回の食事で摂取したたんぱく質は、小腸でアミノ酸に分解される。しかし、各種の消化酵素を合成したり、腸の組織を維持する必要性から、その時点で大量のアミノ酸が消費されてしまう。残ったアミノ酸は肝臓に運ばれるが、そこでも様々なたんぱく質を合成するのに使われてしまう。つまり基本的な食事で多くのたんぱく質を摂取しても、体のしくみ上、小腸と肝臓で大半が消費されてしまうことになる。そこで、ミサイル栄養では、食後3時間たってから高たんぱく質スナックと呼ばれるサプリメントを摂取することで、アミノ酸を確実に筋肉まで運ぶことができる。 |
プロテインサプリメント protein supplement | たんぱく質(プロテイン)を主成分とする、健康補助食品のこと。単にプロテインと呼ぶこともある。多くは乳白色の粉末であるが、風味を加えるためなどに着色されたものもある。特にトレーニング中に損傷した筋肉などを修復するには、たんぱく質が必要とされることから、プロテインサプリメントを使用するスポーツ選手が多いようである。体を作るという目的で利用する場合は、適切なトレーニングや食事と併用したうえで長期にわたって継続して、初めて効果が期待できる。筋肉増強剤と混同されることもあるが、基本的には高たんぱく食品でしかなく、薬物的な意味での筋肉増強効果はない。たんぱく質は食物から摂取しても、サプリメントで摂取しても、体内では同じように分解されアミノ酸として吸収されることになる。 |
アミノ酸サプリメント amino acid supplement | トリプトファン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジンの9種類の必須アミノ酸を含んだ健康補助食品。アミノ酸は生体のたんぱく質を構成するユニットで、基本的には20種類ある。食物として摂取したたんぱく質は、消化酵素によってアミノ酸へと分解されるが、その際、人間が体内で合成できないものを必須アミノ酸といい、近年、栄養素として重視されている。スポーツ後にアミノ酸を摂取すると、疲労や筋肉痛の回復を助ける効果があるとされているが、先の9種類の必須アミノ酸をバランスよく摂取しないと効果が少ないことから、様々なサプリメントが開発された。スポーツの分野では、主としてコンディションを整える、という目的で利用されることが多い。 |
クエン酸サプリメント citric acid supplement | 柑橘類や梅干しなどに含まれる、クエン酸(αヒドロキシ酸)という有機化合物を調合した健康補助食品。枸櫞(くえん)という、中国産のレモンの一種から名づけられた。クエン酸は、人間の体が食物から摂取した栄養素を分解し、エネルギーを産生するためのクエン酸回路(TCA回路)というメカニズムにおいて、そのサイクルを維持・調節する重要な役割を果たしている。通常は体内で分解生成されるが、スポーツ時などに体外から補給すると、クエン酸回路が活性化され、嫌気呼吸が起こらず筋肉で乳酸が生成されない。そのため疲労回復によいとか、筋肉や神経の疲労予防によいなどといわれ、各種のサプリメントの成分として使用されている。ただし、その有効性については、現在までのところ十分なデータはない。 |
最大酸素摂取量 maximum oxygen intake | 最大酸素摂取量はトレッドミルや自転車エルゴメーターなどで5~8分間の激しい運動を行わせた時の酸素摂取量で、運動を持続させるために必要な持久力の指標となる。酸素は肺から心臓を経由し血液によって全身に運ばれるので、最大酸素摂取量は心肺機能の物差しになる。持久力を必要とする運動種目の選手は一般人よりも50~70%も多い。トレーニングにより1カ月で約10%、6カ月で約20%増やすことができる。 |
高気圧カプセル hyperbaric capsule | 水深2~3メートルの水中にいるのと同じ、1.2~1.3気圧の環境が作り出せる、酸素セラピー用カプセルのこと。酸素カプセル、O2カプセルともいう。スポーツの分野ではけがの治療、運動後の疲労回復などに効果が認められており、リハビリテーションやコンディショニングで積極的に取り入れられている。とりわけ急性期のけがでは、酸素不足をカバーすることで、腫れや痛みを軽減する効果がある。スポーツによる疲労を回復するには、疲労物質の除去が必要だが、酸素を供給すると、乳酸など疲労物質の代謝を促進できることが判明している。ドーピング(禁止薬物使用)違反であるとの指摘もあったが、2009年、世界アンチドーピング機関(WADA)によって、高気圧カプセルはドーピングではない、という見解が明らかにされた |
全肺気量 total lung capacity | 安静時に1回の呼吸で肺に出入りする空気の量を1回換気量(tidal volume)とよび、成人の平均値は約500ミリリットルである。息を吐いてから、努力して吐き出せる量が予備呼気量(expiratory reserve volume)で約1000ミリリットル。逆に安静吸入後、努力できる吸入量が予備吸気量(inspiratory reserve volume)といって約2000ミリリットルである。この三者を合わせたものが肺活量。最大に吐き出しても、肺内に残っている約1500ミリリットルの空気が残気量(residual volume)。肺活量と残気量の合計が全肺気量である。なお、予備呼気量と残気量を合わせて機能的残気量(functional residual capacity)、安静呼出後に吸い込める最大吸気量を深吸気量(inspiratory capacity)という。全肺気量は肺容量ともいわれている。 |
心拍出量 cardiac output | 心収縮によって心臓から送り出される血液量のこと。1回の心収縮で拍出される1回拍出量(stroke volume)は60~80ミリリットルで、1分間の心拍出量である分時拍出量(minute volume)は5~6リットルに達する。運動時には1回拍出量と心拍数が増大する。最大運動における分時拍出量を最大心拍出量(maximum cardiac output)とよび、運動能力の重要な指標となる。成人男子の最大心拍出量は約20リットルで、安静時の約4倍になる。女性の最大心拍出量は男性のほぼ70%である。1分間に筋肉に配分される血液は、安静時では1200ミリリットルだが、軽い運動では4500ミリリットル、激しい運動になると1万2500ミリリットルにもなる。 |
スポーツ心(臓) athletic heart | 持久力を要するような運動を、長期間行うことで起こる心臓の肥大。マラソン、水泳、ボート、カヌー、競輪といったスポーツの選手に多くみられる。スポーツ心になると、最大心拍出量や最大酸素摂取量が増加し、持久力が高まることがわかっている。かつては病気と考えられていたが、最近のスポーツ医学では生理的な適応状態とされ、治療の対象とはなっていない。運動を中止すれば、比較的短い期間で正常な心臓に戻るので、臨床的にも健康上で心配の必要はないとされている。スポーツ心は、心電図検査、レントゲン検査などで見つかることが多い。特に心電図で診断された場合は、他の心疾患と間違えている可能性があるので、専門医の診察を受けるとよい。最近では心エコー図検査で、簡単に診断できるようになった。 |
ドーピング doping | 競技能力を高めるために薬物などを使用すること。フェアプレーの精神に反するだけでなく、医学的にも競技者の健康を害することから、オリンピックや国体をはじめ多くのスポーツで禁止されている。1960年のローマ五輪で起きたデンマークの自転車選手の死亡事故がきっかけとなり、ドーピング検査が68年メキシコ五輪から導入された。IOCは99年の「ドーピングに関する世界会議」で「ローザンヌ宣言」を採択するとともに世界ドーピング機関を設立した。ソウル五輪の陸上男子100メートルで優勝したカナダのベン・ジョンソン選手はアナボリック・ステロイドの一種であるスタゾロール、シドニー五輪の女子体操で優勝したルーマニアのアンドレーア・ラドカン選手はプソイドエフェドリンが検出され失格となっている。アテネ五輪のハンマー投げで優勝したハンガリーのアヌシュ選手がドーピングで失格となり室伏広治選手が金メダルを獲得したのは記憶に新しい。 |
エリスロポエチン(EPO) erythropoietin | 酸素を運搬する能力がある赤血球を増やす働きがあるホルモンで、もともと人体に存在するが、人工的に合成されてドーピングに使われていた。当初は検出されただけでは判断できなかったが、天然型と人工型に構造上の違いがあることがわかり、ソルトレーク冬季五輪で3人のスキー選手が陽性となった。1998年のツール・ド・フランスで、あるチームのエリスロポエチン使用が発覚し全員が失格になった。 |
遺伝子ドーピング gene doping | 重要な生理的機能を持ったホルモンなどのたんぱく質を作る遺伝子を体内に導入する、バイオ技術を利用した最新のドーピングのこと。インスリン様成長因子(IGF-1)を作る遺伝子を導入したマウスは、筋肉が20~50%も増え、筋力も15~30%も強化した。筋肉の増殖を抑制するミオスタチンを作れないように遺伝子操作されたマウスは筋線維が増えた。現在のところ、技術的な問題や副作用への不安から実用化されていないが、北京五輪では実際に行われる可能性がある。遺伝子ドーピングは薬物と違い尿や血液の検査ではチェックが困難なので、確実な検査法の開発が急がれる。 |
ミルキングアクション milking action | 脚の筋肉の収縮と弛緩により血管が圧迫されることによって、末梢の静脈血の還流量が増加する現象。特に大腿筋と下腿筋のポンプ作用の仕事率は安静立位時の心臓の仕事率にほぼ等しく、運動中には心臓の仕事率の約30%に相当する。このため、脚は第二の心臓といわれ、ミルキングアクションは末梢心臓、筋ポンプ、筋肉ポンプともよばれる。脚の筋肉を鍛えるジョギング、ウオーキング、歩行はミルキングアクションを高めて血液循環を盛んにすることで老化の予防になる。 |
ランナーズハイ runner’s high | ランニングハイともよばれ、ランニング中に現れる陶酔状態あるいは恍惚感に陥った状態のこと。一般的には無理のないスピードで5~15分くらい走ると、心拍数や換気量が安定し気分も爽快になり、いくらでも走れるような気分になる。このセカンドウインドとよばれる状態は、多くのランナーが経験している。セカンドウインドから20~40分ほど走るとランナーズハイとよばれる陶酔状態になることがある。ランナーズハイになると脳波に入眠時によくみられるθ(シータ)波が現れる。 |
デキサ法(DEXA法) dual-energy X-ray absorptiometry | X線を利用して、骨密度をチェックする骨量の測定法のこと。二重エネルギーX線吸収測定法ともいう。透過度の違う2種類のエネルギーレベルのX線を照射し、その透過率の差を用いて骨量を測定する。測定精度が高いだけでなく、測定時間も短いので、X線の被曝量が少なくてすむ、という長所がある。主な測定対象は、腰椎、大腿骨頸部、前腕部、全身骨など。とくにデキサ法による腰椎の測定は、骨量を測るうえでの標準法としても重視されており、骨粗しょう症の診断、経過観察、治療効果の評価に用いられている。ちなみに腰椎の場合は3分、全身骨でも8分以内に測定できる。ほかに体脂肪量も測定できる。 |
体組成計 body composition analyzer | 体脂肪、基礎代謝、筋肉量、骨量など、人体の組成を計測し、健康管理に関する情報を得る機器のこと。開発メーカーによってさまざまな表示方法、指標が用いられ、体組成計や体重体組成計などの名称で市販されている。最新の機種では、体幹、両腕、両脚といった部位ごとの皮下脂肪率、骨格筋率を測定する機能も備わっている。体重については、肥満度を示すBMI値も計算する。内臓脂肪については、脂肪の量が数段階で表示される。体重のうち、心筋や平滑筋を除いた骨格筋の占める割合を示す、骨格筋率も表示される。骨格筋は運動などで増やせるので、骨格筋率の数値が高いほど、筋肉質で太りにくい体といえる。生命維持のためのエネルギー消費量である、基礎代謝も測定する。基礎代謝は加齢とともに低くなるが、運動などで鍛えた体では高くなる。一般的に基礎代謝が高いほど、太りにくい体といえる。 |
スポーツ栄養士 sports nutritionist | スポーツ栄養学の専門家。スポーツ選手の栄養管理のほか、健康のためにスポ-ツをする一般の人の栄養指導なども行う。栄養学の知識だけでなく、種目内容や病気に対する知識、さらに最近ではサプリメントやドーピングの知識も必要とし、日本栄養士会で認定制度を設けている。主な仕事内容は、競技活動を行う選手の体力や体調維持のための食事指導、ミールトレーニングと呼ばれる食事トレーニングの指導など。一般向けには生活習慣病の予防やダイエットの食について、スポーツジムやフィットネス施設でアドバイスする。プロ野球選手の田中将大(まさひろ)投手と結婚した里田まいが、アスリートの栄養管理をするジュニア・アスリートフードマイスター資格を取得したことから分かるように、スポーツと栄養学は切っても切れない関係にある。 |
スポーツデンティスト sports dentist | スポーツ選手を、歯科医学的な面でサポートする専門医。スポーツ歯科医ともいう。日本体育協会と日本歯科医師会が、2013年に認定制度を発足した。選手の歯の健康管理、スポーツ障害の診断と治療、外傷予防のためのマウスガード処方、競技力向上のためのサポート、などを目標とする。歯科領域の外傷としては歯の欠損、顎関節の脱臼、唇の裂傷、顔や顎の打撲、入れ歯や差し歯の損傷がある。こうした外傷の予防だけでなく、脳しんとうの軽減や運動能力の向上といった効果もあるマウスガードは、近年ではボクシングなどの格闘競技だけでなく、スキーやスケートの選手も使用している。 また、野球、アーチェリー、ウエートリフティングなどのスポーツでは、歯のかみ合わせが重要になる。陸上短距離走のシェリーアン・フレーザープライスやカール・ルイスも、かみ合わせの向上のために矯正治療を行っていた。日本ではソウル・オリンピック以降、内科と整形外科に加えて、歯科の検診が選手に義務づけられている。また、国立スポーツ科学センター(JISS)内にも、歯科診療部門がある。 |
AKA療法 arthrokinematic approach therapy | 関節の動きを円滑化することで、体の痛みや動きにくさを解消する治療法。日本語で関節運動学的アプローチともいい、施術者が患者の関節を本来の正常な動きで運動させ、関節の遊び、関節面の滑り、回転・回旋といった関節包内の運動異常を矯正していく。その結果、関節の機能障害が緩和され、腰痛や関節痛、肩こり、神経痛などが解消するというもの。1979年、整形外科医の博田節夫が開発した。治療にあたっては、正確な診断や関節運動学についての知識、経験を用いないと症状を悪化させることもあるため、日本AKA医学会が認定専門医・指導医資格制度を設けている。 |
筋筋膜性疼痛症候群 myofascial pain syndrome | 体の特定部位の筋肉に、うずくような痛みやしびれが起こる病気。全身のあらゆる部位に発症が見られる。1983年、アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディの主治医だった2人のアメリカ人医師が発見、報告を行った。筋肉に強い負荷をかけたり、筋線維の損傷、血行不良などを繰り返すうちに筋肉痛が自己回復できなくなり、慢性化することが原因。そのため、病名をchronic myofascial pain (慢性筋筋膜痛)へと変更する動きもある。疾病として認知度が低いうえ、血液検査、MRI、CTなどでの診断が難しく、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄(きょうさく)症、すべり症、半月板損傷などと間違われやすい。そのため発見が遅れたり、治療が滞るケースも多い。最悪の場合、歩行や起居などの日常生活が困難になるほど疼痛が強まる。スポ-ツの分野では、ピッチング、ジャンプ、スイング動作などが引き金になる。主な予防法は、腹筋や背筋の強化とストレッチングによる柔軟性の獲得である。 |
スポーツ貧血 sports anemia | 激しい運動を、長時間連続することで起こる軽い貧血。血液中の赤血球数やヘモグロビン濃度が低下した状態となり、トレーニングを中止すると貧血はすみやかに回復へ向かう。一般に、血液100ミリリットルあたりのヘモグロビン量が男性13.8グラム未満、女性12グラム未満がスポーツ貧血の目安となっている。新体操や陸上長距離などの選手に多く、たとえば毎日長時間の練習を、1週間以上続けた場合などに発症する。普段から運動をしていなかったり、たんぱく質の摂取量が少ない人ほど発症しやすく、女性は男性に比べて3倍の高頻度で発症する、という報告もある。原因の多くは鉄欠乏性貧血で、とりわけトレーニングで筋量を増やしたスポーツ選手は、筋肉での鉄分消費量が増えて血液中が鉄不足状態になる。また激しい運動により、足底の血管内で赤血球が大量に壊れてしまう溶血性貧血が原因となる場合もある。予防法は、激しい運動を長時間行わないこと、たんぱく質や鉄分を十分に摂取することである。 |
スポーツ障害 sports disorders | 長期間にわたりスポーツを続けることによって起こる健康障害のことで関節症、骨膜炎、腱鞘炎、疲労骨折、腰痛症などがある。スポーツによる身体への良い影響をスポーツ効果、悪い影響をスポーツ障害とよぶ。テニスひじ、野球ひじ、ジャンパーひざ、ランナーズ・ニー、水泳肩など、特定のスポーツと密接な関係のある障害も多い。予防は適切なトレーニングを科学的に実施することである。 |
スポーツ外傷 sports trauma | 激しいスポーツで起きる骨折、脱きゅう、筋腱断裂、靱帯断裂などの総称。疲労、体調不良、設備や器具の欠陥、悪天候、突発事故などが原因となる。学童や一般人は未熟練や練習不足で起きやすいが、運動選手では過度の練習によって起きることが多い。発生率はラグビー、サッカー、柔道、ボクシングなどが高い。骨折はスキー、ラグビー、柔道に、ねんざはスキー、スケート、野球に、靱帯の完全断裂はラグビー、サッカー、スキーに、脱きゅうは柔道、走り高跳び、体操に、腱断裂は全力疾走中、テニス、剣道に多い。 |
オーバートレーニング症候群 overtraining syndrome | スポーツ障害の一種で使い過ぎ症候群ともよばれる。第1段階では運動中の関節、筋肉、腱、靭帯(じんたい)などの鈍痛、第2段階ではそうした鈍痛が運動後にも残り、第3段階になると安静時にも痛みがある。自覚症状は、(1)同じ運動なのに疲労感が残る、(2)筋肉痛や関節痛がなかなかとれない、(3)食欲の減退、(4)体重の減少、(5)睡眠不足、(6)運動が面倒になる、などがある。無理なトレーニングと不十分な休養による筋肉や腱などの慢性疲労が主な原因。予防は適度の休養、正しいフォームの習得と筋力トレーニング、ウオームアップとクールダウンの励行など。痛みを感じたら運動後に冷却し、十分な休養をとる。それでも痛みが強くなるようなら運動を中止し安静にする。回復には数週間から数カ月かかることが多い。 |
ランナーズ・ニー runner’s knee | 長距離走や一般のジョギングに多いスポーツ障害。ジョガーズ・ニー、ランナーひざともいう。ランニングではひざの負担が歩行中の3倍もかかるために起こる。ジョギング中にひざの痛みを感じたら、すぐに中止して早目に整形外科医の診察を受けること。予防法は、(1)大腿筋の筋力アップ、(2)ジョギング後にひざを冷やしすぐに温めて血行をよくする、(3)着地時の衝撃を吸収するシューズを選ぶ、(4)軽くて自分に合ったシューズの使用、など。 |
オーバープロネーション overpronation | 歩行や走行で足を地面に着地させる際、足首が内側に倒れ込むこと。ジョギングやマラソンの着地では、足には体重の2~3倍の衝撃がかかる。そのため人間の足には、足首をねじることによって衝撃を吸収する、プロネーション(pronation)と呼ばれる動きが備わっている。内側に倒れ込むことをオーバープロネーション、外側に倒れ込むことをアンダープロネーション(underpronation)、またはサピネーション(supination)という。足首の倒れ込みが大きくなりすぎると、体重による過負荷がかかり、ひざや腰の故障を引き起こすことがある。原因としては、骨盤のゆがみ、扁平足、O脚、下半身の筋力不足、といった体質的なもののほか、ランニング姿勢の問題や、疲労などが考えられる。予防には対策が施されたシューズやインソール(中敷き)を使用する、整体などで体のゆがみを矯正する、ランニングに必要な筋肉を鍛える、などがあげられる。 |
肉離れ charley horse | 瞬間的な筋肉の活動に筋収縮力が十分に対応できないことによる筋肉の局所障害。競技中や練習中のスタートダッシュ、短距離の全力疾走中に発生しやすい。陸上選手に圧倒的に多いが、野球、ラグビー、サッカー、テニスの選手にもみられる。治療は患部の出血を少なくするように冷やすことと、その上を包帯で強く巻く圧迫固定で適切に処置すれば1~2週間で完全に治る。 |
疲労性骨折 stress fracture | 長期間の走行や反復跳躍などにより、骨の同一部位に過度の負荷が加わることで起こる骨折。痛みはあるが、外傷性の骨折に比べて一般的には軽く、通常3~4週間でトレーニングを少しずつ再開できることが多い。腿骨や脛骨の疲労骨折は、手術的治療が必要になることもある。かっては行軍後の兵士に多く見られたので、行軍骨折ともいわれたが、最近ではスポーツ障害として注目されている。発生頻度では、陸上、サッカー、野球、バスケットボールなどの種目が上位を占めている。具体的には、スタートダッシュやハードル練習による中足骨疲労骨折、長距離持続走による脛骨疲労骨折、うさぎ跳びやバレーボールのローリング練習による腓骨疲労骨折が、よく知られている。最近では、ゴルフスイングによる肋骨の疲労骨折も、中高年の初心者の間で増えつつある。疲労骨折が見つかったら、運動はすぐに中止すべきである。 |
グロインペイン症候群 groin pain syndrome | 股関節、骨盤、恥骨、鼠径(そけい)部に出現するスポーツ障害の総称。医学的には鼠径部痛症候群、スポーツヘルニアともいう。下半身を酷使するサッカー、ラグビー、アメリカンフットボール、陸上(長距離走)種目などの選手に多い。症状は股関節の前面、特に鼠径部周辺に生じる運動痛や圧痛で、股関節に関する筋の過緊張や筋力低下も見られる。過度の外圧や反復動作に伴う、肉体的ストレスが主な原因。左右の脚の長さに差があったり、筋肉の硬直、脚部の捻挫、肉離れ、腰痛などを押しての運動が引き金になるケースもある。とりわけサッカーでは、ボールを追いながらの急発進や急停止が、鼠径部周辺に体重の7倍以上もの負荷をかけるため、本症の約70%はサッカー選手である。日本では中田英寿や中村俊輔、世界ではジネディーヌ・ジダンやティエリ・アンリも発症しており、サッカー選手の職業病ともいわれている。普段からの股関節周辺の筋力アップ、プレー前の十分な準備運動が予防になる。 |
反復運動過多損傷(RSI) repeated sequence injury | 一定の姿勢や動作を、長時間繰り返すことで、負荷がかかった体組織などに損傷や炎症が起こる障害。反復運動症候群(RSS ; repeated sequence syndrome)ともいう。障害が出やすい部位は、主に神経、腱、筋肉で、痛みやしびれなどの症状が現れる。手指、手関節、ひじなどに発生するものは、俗に「床屋の手」と呼ばれ、有名なものに野球ひじ(baseball elbow)、テニスひじ(tennis elbow)などがある。ボウリングやゴルフ、バドミントンで起こるドケルバン腱鞘炎も、反復運動過多損傷の一つで、総称してスポーツ腱鞘炎という。症状が痛み程度なら、安静にしていれば治るが、腫脹が起こると休息では治らないので、整形外科を受診する。スポーツだけでなく、最近ではスマートフォン、携帯電話、パソコン、家庭用ゲーム機の長時間操作で発症するケースも増えている。 |
シンスプリント shin sprints | ジョギングや長距離選手に発生するスポーツ障害で、医学的には「疲労性脛骨痛」か「疲労性骨膜炎」と呼ばれる。走ることによる負担で炎症が起き、脛骨の下部の内側からふくらはぎの外側のひらめ筋の付け根にかけて痛みを感じる。長距離のランニングはふくらはぎの筋肉を発達させるが、すね側の筋肉が発達しないので常にすね側の筋肉が引っ張られて起きる。またシューズが合わないと足首にゆるみがなくなるために起きる。運動を休むと1カ月くらいで治るので、整形外科医の診断を受けることが大切である。 |
インピンジメント症候群 impingement syndrome | 肩関節で何かが挟み込まれたような状態になって、肩の痛みや運動制限が生じるスポーツ障害。インピンジメントは、「挟み込み」という意味である。技術的に未熟な、若い選手にみられる。野球、テニス、水泳、バレーボール、バドミントン、ゴルフといった、腕を上げる動作を繰り返し、反復的に肩に負荷がかかるスポーツに多い。ボールを投げる、打つ、水をかくなど、肩を90度以上横に上げた状態で、腕を後方から前方にひねる動作を繰り返すと、上腕骨頭が前方に押し出され、烏口肩峰靭帯(うこうけんぽうじんたい)、肩峰、烏口突起で形成されている鳥口肩峰ア-チとぶつかり合う。その結果、肩峰下滑液包や上腕二頭筋腱の炎症、棘上(きょくじょう)筋の損傷が起きて痛みを生じる。投げ込みや打ち込みによる慢性的な筋疲労、投球フォームやスイングの乱れ、コンディション不良などが引き金になる。重症になると、夜間も痛みが続く。長期間放置していると、レントゲン検査で肩峰や上腕骨頭に骨変形がみられることもある。治療は、痛みを感じる動作を避けることが基本であるが、外来では温熱療法、ヒアルロン酸や副腎皮質ステロイド薬の局所注射を行う。運動前後のウオーミングアップとクールダウンが予防になるが、普段は肩を冷やさないようにするのも大切である。筋力トレーニングで前鋸(ぜんきょ)筋を鍛え、肩甲骨を動かすように腕を使うことで、肩への負担を少なくする。痛みや熱感がある時は、アイシングをするとよい。 |
野球ひじ baseball elbow | 野球の投手がボールを投げる時にひじ関節に大きな負担がかかるために起きる運動障害のこと。8~12歳の成長期の少年に多発するためリトルリーグひじともいう。最初は投球時の痛みやひじの伸展運動の制限が起きる程度だが、放置するとひじを動かすだけで痛くなり、重症になるとひじが曲がったままの状態になる。投球中に痛みを感じたらすぐに整形外科医を受診すること。少年野球では、1週間に6イニング、1試合2イニング、1日150球以上投げないこと。ひじへの負担が大きい変化球も禁止である。 |
トミー・ジョン手術 Tommy John surgery | 1974年、アメリカの整形外科医フランク・ジョーブによって考案された、肘(ひじ)の靱帯(じんたい)断裂の外科的治療法。アメリカのプロ野球チーム、ロサンゼルス・ドジャーのトミー・ジョン投手が最初にこの治療を受けたことが名称の由来で、投球時に肘の側副靭帯を傷めやすい野球選手がよく受ける。医学的には側副靱帯再建手術といい、損傷した肘の靱帯を切除し、正常な腱(けん)を移植して患部を修復する外科手術。ただし移植した腱が靱帯に定着するのに時間がかかるため、術後も長期にわたるリハビリテーションが必要で、1年以上かかることも多い。当初は成功率1%未満といわれたが、現在は完治する割合は約90%となっている。野球選手の中には、術後に球速が上がった、というケースも少なくない。このような成功率の向上や球速の増加は、リハビリテーションの進歩によるところが大きいといわれる。日本人の野球選手では、村田兆治、荒木大輔、桑田真澄、五十嵐亮太、松坂大輔などがこの手術を受けている。 |
テニスひじ tennis elbow | テニスをしすぎた時に起きるテニスエルボーともよばれる運動障害で女性に多い。前腕の筋肉に繰り返しかかる負担によって起きるが、上級者にはほとんど起きない。軽症ではひじの外側から手首にかけての痛みを感じる程度だが、重症になると握力が低下してコップや受話器などが持てなくなる。プレー中にひじの痛みを感じたらすぐに中止すること。プレー後も痛みが残る時は整形外科医の診察を受けること。予防は、(1)ウオームアップをする、(2)激しいストロークやショットを急にしない、(3)バックハンド・ストロークは両手でする、(4)筋力アップのトレーニングをする、(5)スイートスポットに当てる、(6)軽くて自分に合ったラケットを選ぶことなどである。 |
ジャンパーひざ jumper’s knee | ジャンプを繰り返すバレーボール、バスケットボール、陸上の跳躍競技などのスポーツで起きるひざの脱力感と痛みを伴う運動障害。運動中だけでなく安静時にも痛む時は、整形外科医の診察を受けること。予防は運動の前にストレッチングをすることである。 |
オスグッド・シュラッター病 Osgood-Schlatter disease | サッカーをしている10~15歳の骨が完成していない成長期の男子に多く発生するひざの病気で、少年サッカーで問題になっている。オーバートレーニング症候群の一種で、ひざの痛みと腫れや階段の昇降やジャンプの時に痛むことが多い。軽症ならひざを使わずに安静にしていれば約2カ月で治るが、重症では手術が必要になる。ある調査では、サッカー部員120人中20%がこの病気にかかっていた。 |
高山病 mountain sickness | 3000メートル以上の高地における酸素欠乏によって起こる。症状は呼吸困難、疲労、頭痛、嘔吐、不眠、食欲不振など。また、5000メートル以上では、脳の酸素欠乏によって、視力や聴力の低下、記憶力の減退などが現れ、7000メートル以上では生命の危険がある。中高年の山歩きが流行しているが、アルコールの摂取は高山病を誘発するので注意が必要である。 |
潜水病 caisson disease | スキューバダイビングの人気上昇とともに、潜水による事故が急増し、毎年約200人が死亡している。事故の原因は、技術不足と無謀潜水が46%とほぼ半数を占める。水深10メートルあたり約1気圧の圧力を生じる潜水による高圧下では、窒素ガスが過剰に体液中に溶ける。浮上時の急速な減圧によって、気泡を生じた窒素ガスが空気栓塞や血行障害を起こす。最も多い症状は激烈な関節痛、筋肉痛、前胸部痛である。重症では死亡する。10メートル以下の潜水では潜水病の心配が少ない。 |
遅発性筋肉痛 | スポーツをした翌日でなく翌々日に発生する筋肉痛のことで、運動不足の中高年に起きやすい。筋肉痛は数日間は続く。スポーツによって活動した筋肉細胞は、老廃物を排出しエネルギー源を取り込んで元の状態に回復する時に、筋肉が膨張して血液が流れにくくなり、老廃物の代謝が遅れるために起きる。筋肉痛があるからといって安静にしていると逆に回復が遅れるので、疲労部分の筋肉のストレッチや軽い体操によって筋肉を使った方がいい。 |
運動誘発性ぜんそく exercise-induced asthma | 運動の開始直後や最中、運動を終えてから10分くらいで起こるぜんそくの発作で、気管支ぜんそくの既往症をもつ子どもに多い。また、寒い冬の時期に多いという特徴がある。主な症状は、喘鳴(ぜんめい)と呼吸困難である。運動によって呼吸数が増え、気管の水分が奪われたり、冷たい空気を吸い込むことで気管が刺激されるため発作が起こるといわれる。冬期に多発するのは、空気による気道の冷却が、気管の収縮を起こすためである。日常できる予防法は、マスクの着用や鼻呼吸、十分なウオーミングアップなどである。ネックウオーマーを口まで上げて、マスク代わりにするのもよい。ぜんそくをもつ子どもは、あらかじめ小児科を受診して医師のアドバイスを受け、必要なら薬を処方してもらうこと。既往のぜんそくが軽症なら、発症頻度は10%ぐらいだが、中等症では50~60%、重症になると80%以上が運動誘発性ぜんそくを起こすといわれる。湿度が保たれたプールでの水泳などであれば、ぜんそく発作は起こりにくい。 |
セカンドインパクト症候群 second impact syndrome | 致死率が50%を超える脳損傷の一種で、1973年にアメリカ人医師のリチャード・シュナイダー(R.C.Schneider)が最初に報告した。頭部に衝撃を受けた直後に起こる脳しんとうは、一過性の神経機能まひを伴うが、一般的には数分で治る。しかし、スポーツの競技中など短時間のうちに、脳しんとうを伴うような衝撃を2度以上頭部に受けると、より重篤なセカンドインパクト症候群が発生する可能性がある。主な症状は、意識喪失、記憶喪失、めまい、頭痛など。意識喪失は一瞬的な軽度のものから、数時間におよぶ重度のものまであるが、短時間のケースでも、本人は何が起きたかわからないことが多い。頭痛は軽度のものでは発症しないが、重度の場合は数カ月間も続くことがある。脳しんとうを起こした人は、絶対に動かさないように安静にして、氷や濡れタオルで頭部を冷やす必要がある。気絶するような中度以上の場合、脳に損傷がある可能性が高いので、完全に回復するまでは練習や試合を続行してはいけない。スポーツ中に脳しんとうを起こした場合、軽度であれば1週間、中度以上であれば2週間以上の休養が必要とされている。特にボクシングや柔道で、セカンドインパクト症候群が多発していることを考えると、中学校の武道必修化によって柔道が導入された教育現場では、十分な注意が必要となる。 |
テーピング taping | スポーツで起こりやすいけがの予防と、一度痛めた部分を保護するため、テープで関節や筋肉を強く固定することをいう。特に軽度の靭帯損傷の治療法として有効である。ゴムとポリエステルを原材料とし、裏にゴムやアクリル樹脂系を貼り合わせた粘着テープを使用する。 |
ICE処置 | ねんざ、打撲、骨折などの応急処置の一つで、冷却(ice)、圧迫(compression)、挙上=患部を心臓より高く上げる(elevation)を基本とする。ただし冷やしすぎ、圧迫しすぎは有害になることもあるので、30分ほど処置を施したら15分休み、再び処置をくり返す、といった注意が必要とされる。 |
マウスガード mouthguard | 歯列をしっかりとかみ合わせ、歯の損傷や口内の裂傷を防ぎ、脳への振動も軽減するための器具。コンタクトスポーツなどで使用され、上顎にはめるタイプと、上下の歯でかむようにするタイプがある。マウスピース(mouthpiece)、ガムシールド(gumshield)ともいう。最大の目的は、スポーツ外傷の予防である。ボクシング、アメリカンフットボール、アイスホッケーでは競技中の装着が義務化されている。一部義務化されているスポーツには、空手、ラグビー、ラクロスなどがある。そのほか、レスリング、サッカー、バスケットボール、水球、ハンドボール、ホッケー、乗馬、自転車、柔道、重量挙げ、アーチェリー、射撃などでも使われる。アメリカでは、野球のリトルリーグ選手が、外傷を予防するため利用している。歯と歯が十分にかみ合うので、着用すると通常より強い筋力を発揮でき、パフォーマンスの向上につながるともいわれている。近年、こうした効果が徐々に認知されるようになり、多くの競技で使用率が高まりつつある。日本のプロ野球選手の中にも使用者がいる。その一方で、プロゴルフ界では打球の飛距離に影響すると考え、医療目的以外でのマウスガードの使用を禁止している。最近ではオーダーメード品も普及しつつあり、日本体育協会は、2013年から「スポーツデンティスト」の養成を行うことを決めている。 |
ウオームアップ/クールダウン warm-up : cool-down | スポーツをする前に「ウオームアップ(準備体操)」をするのはスポーツ医学の常識である。特にゴルフではウオームアップをしないので突然死が多い。ウオームアップだけでなくスポーツ終了時にも「クールダウン(整理体操)」をしなくてはならない。時間は両方とも15~20分くらいかけるとよいが、少なくとも5~7分はすること。 |
ストレッチング stretching | ウオーミングアップやクールダウンには筋肉を伸展させるストレッチングがいい。反動を利用するダイナミック・ストレッチング(動的柔軟体操 ; dynamic stretching)と目的部分の筋肉を限界近くまで伸展して30秒ほど静止するスタティック・ストレッチング(静的柔軟体操 ; static stretching)があるが、ウオーミングアップやクールダウンには後者がいい。 |
メディカルチェック medical checkup | 運動を始める前に受ける健康診断のこと。人間ドックや健康診断ではあまりチェックしてもらえない運動負荷心電図をはじめ、運動時の血圧、呼吸数、心拍数などをチェックしたうえで、スポーツドクターに自分に合った運動処方を決めてもらうことができる。最近ではマラソン大会の参加やスポーツクラブの入会などにも健康診断書が必要になることが多く、メディカルチェックが広く普及してきている。 |
スポーツドクター sports doctor | メディカルチェックを行ったうえで運動処方をすることのできる医師のこと。プロボクシングのコミッショナードクター、サッカーや野球のチームドクターだけでなく、健康のためにスポーツをする人を対象とするスポーツドクターが増えている。日本体育協会は1982年から公認スポーツドクターの認定制度を創設し、日本医師会も91年からスポーツ医制度を導入している。 |
ランニングドクター running doctor | 市民マラソンなどで一般ランナーに交じって出走し、参加者のケガや事故に即応する待機医。アジア最大規模の市民マラソン大会として、毎年3万人以上が出場する東京マラソンでは、NPO法人日本医師ジョガーズ連盟に会員登録した約50人の医師が、ボランティアでレースに参加している。10キロ地点の日比谷公園から1人ずつスタートし、参加者に気を配りながら、一定の間隔を保ちつつ1キロ8分のゆっくりしたペースで走る。東京マラソン2009では、14キロを過ぎた地点で倒れたタレントの松村邦洋が、駆けつけたランニングドクターの指示で人工呼吸と心臓マッサージを受け、自動体外式除細動器(AED)によって蘇生した。07年からの3大会で、合計3人が心肺停止状態となったが、いずれも迅速な手当てによって救命されている。 |
スポーツ医学 sports medicine | スポーツに関する研究をする医学の一分野。19世紀にスポーツ選手のために誕生したが、最近では健康という視点から行うスポーツが対象にされる。スポーツには人体に対する良い影響と悪い影響があるが、その両方の立場から研究が進められている。運動生理学、体力医学、衛生学、栄養学、生化学といった基礎医学や内科、整形外科、小児科などの臨床医学だけでなく、精神医学、心理学、バイオメカニクスまでが加わる学際的な研究分野である。 |
スポーツファーマシスト sportspharmacist | ドーピング防止規則や、スポーツの知識に精通した薬剤師のこと。2008年、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が認定制度を立ち上げ、所定の課程を履修した薬剤師の資格所持者を対象に、公認を行っている。主な活動目的はスポーツにおけるドーピングの防止で、最新のドーピング防止規則に関する正確な情報と知識を持ち、競技者が過ってドーピングを犯すこがないようアドバイスを行ったり、一般のスポーツ愛好家に薬の正しい使い方の指導や、薬に関する健康教育の普及、啓発を行っている。 |
アジリティートレーニング agility training | 俊敏性、機敏性、巧緻性を高めるトレーニングのこと。従来は動きの変化の速さを身につける機敏性の向上が主体だったが、近年、SAQ(speed・agility・quickness)トレーニングという理論が提唱され、クイックネスやスピードなどの細分化がなされるようになった。スピードは直線的な最高速度、クイックネスは初めの数歩の動きで、無駄なく加速動作を行う能力のことをいう。トレーニングにはストレッチ系、ウエート系、アジリティー系の三つがあり、それぞれを総合的に行うことで高いパフォーマンスを得る。こうした考え方を、日本でトレーニングに導入して成功したのが、1972年のミュンヘン・オリンピック男子バレーボールチームである。最近ではプロ野球やJリーグなどで、アジリティートレーニングを採り入れている。具体的には、両腕を頭上に完全に伸ばした状態でうつぶせになり、合図ですばやく立ち上がって9メートルダッシュをするライイング・スピード・ドリル、両足をそろえて立ち、数回連続して前方にジャンプするバウンディング、垂直とびを連続10回行うバーティカルジャンプなどを行う。 |
ストレングスコーチ strength coach | 主にアスリートを対象に、ストレングストレーニングの指導を行うスペシャリスト。ストレングストレーニング(strength traning)とは、運動の支えとなる筋力や筋量を向上させるプログラムで、パワートレーニング、スピードトレーニングに、柔軟性エクササイズなどを組み合わせたもの。効果として、パワー、筋持久力、スピード、バランス、コーディネーション能力(敏捷性などの運動神経)といった、筋肉の機能に関わる能力が効率よく高められる。またストレングスコーチは、スポーツ傷害の予防も役割としており、選手やチームが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、安全で効果的なエクササイズプログラムを作成する。ドーピングに関する教育と指導、スポ-ツ施設の管理や運営といった仕事も含まれる。 |
JOCエリートアカデミー JOC elite academy | 国内のジュニアクラス選手を、トップアスリートへと育成するため、日本オリンピック委員会(JOC)が組織した教育機関。JOCエリートアカデミー事業の一環。2001年に国立スポーツ科学センター(JISS)(東京都北区)、08年には味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)(東京都北区)内に開設された。対象は中学1年~高校3年生。将来、オリンピックを始め国際競技大会で活躍できる選手の恒常的な育成を目標に掲げ、有望な年少競技者を発掘し、NTCを拠点施設に共同生活や近隣学校への通学をしながら中央競技団体との連携によるトレーニング指導を行う。競技力の向上だけではなく、文部科学省、教育機関などとも連携を図り、スポーツを通して社会の発展に貢献できる人材を育成する。そのため、知的能力、生活力、語学力、学力の向上に向けた一貫指導プログラムを実施するのが特徴である。 |
バリスティックストレッチング ballistic stretching | 動的な反動をつけながら、弾むような動作で、筋肉を伸ばすストレッチングのこと。拮抗筋が最大収縮している時に、主動筋に最大弛緩が起こる相反神経支配を利用した方法で、柔軟体操がこれにあたり、ラジオ体操も一種のバリスティックストレッチといわれる。筋肉や腱が瞬間的に伸ばされると、本来の可動範囲を超えるため柔軟性が高まる、という効果がある。最初は小さく反動をつけ、少しずつ動きを大きくしていき、最後は関節が動く範囲まで広げる。基本的には「1・2・3・4」のリズムで、8回、16回を1セットとして行う。「1・2・3」の部分は軽めに、最後の「4」で勢いをつけて、筋肉や腱を伸ばす。競技直前などに、パフォーマンスを高めるために用いるが、筋線維の部分損傷を引き起こす危険性があるので、ウオームアップやクールダウンには適さない。 |
エルゴジェニックエイド ergogenic aids | 競技力の向上をサポートする手段の総称。マッサージ、メンタルトレーニング、酸素吸入、サプリメントなどが含まれる。最近、スポーツの世界で注目を集めているエルゴジェニックエイドは、パフォーマンス向上のために使用されるサプリメント(栄養補助食品)である。栄養は食事によって摂取するのが基本であるが、スポーツの分野では、特定機能食品や特定保健用食品といったサプリメントを使用することがある。そうしたサプリメントとしては、瞬発力を高めるクレアチン、神経系統を刺激するカフェイン、遊離脂肪酸の利用を高め筋肉の分解消耗を防ぐカルニチン、筋肉内のグルタミンレベルを上げるオルニチン・アルファ・ケトグルタル酸(OKG)などがある。ただし、サプリメントの過剰摂取による健康障害に注意する必要がある。 |
クライオセラピー cryotherapy | 打撲、ねんざ、筋肉痛などで熱をもった部分を、物理的に冷やすことで、より早く正常な状態に回復させる療法のこと。アイシング(icing)、クーリング(cooling)とも呼ばれる。冷蔵庫が登場した1950年以降に開発されたもので、それ以前は、湿布や馬肉で冷やすしかなかった。応急処置の一つにICE処置と呼ばれるものがあるが、この処置の後に行う治療がクライオセラピーで、主に急性症状や疲労性のスポーツ傷害を対象とする。クライオパックと呼ばれる、医療用に開発された冷却パックは、冷凍庫で5時間以上の冷却が必要である。家庭用品では、氷のう、アイスパック(保冷材)、コールドスプレーなどがあるが、アイスパックは冷え過ぎて患部が凍傷を起こす可能性があるので、タオルなどで包んで使うといい。そのほか、冷やせるものなら何でもよいが、軟らかい材質のほうが皮膚に密着しやすく安全性も高い。 |
メンタルトレーニング mental training | 身体面を鍛えるフィジカルトレーニング(physical training)と同時に行う、精神面のトレーニングのこと。とも呼ばれる。スポーツ選手が最高の成績を達成するためには体力、技能、作戦のほか、意志、意欲、決断といった精神的な要素が非常に重要な意味をもってくる。そのため、スポーツ選手の精神力を強化することを目的とした、多くの研究がなされている。瞑想(めいそう)による精神統一、困難な環境のもとでのトレーニング、高水準の成績を失敗することなく頻繁に出す練習などがある。1984年のロサンゼルス・オリンピック大会のころから世界的に使われ始めたメンタルマネージメント(mental management)は、メンタルトレーニングの同義語である。 |
サーキットトレーニング circuit training | 総合的な体づくりを目的として、オールラウンドな運動適性を向上させる、ウエートトレーニングによく似たトレーニング法。1950年代にイギリスのR.モーガン、G.アダムソンによって考案された。各メニューの間に休息をとらないことと、運動負荷が軽いという点で、ウエートトレーニングとは明らかに異なる。腕、胸、腹、背、脚といった部分の筋肉を強化する運動に、縄跳びや昇降運動などの全身運動を加えた6~12のメニューを、休息なしで通常は3回ほど循環(サーキット)する。休息をとらないことで、筋力トレーニングに持久力トレーニングを加えたことになる。原則として2回続けて同じ筋肉を使わないよう、メニュー選びに注意する。最初にチェックした所要時間を短縮することで、トレーニングの効果をあげていく。スポーツ選手だけでなく、健康のためのスポーツにも広く利用されている。 |
サイクルトレーニング cycle training | スポーツ競技のコンディショニングに多用されるトレーニングの一つで、時間で区切ったプログラムで、競技時に最高のコンディションにもっていこうというもの。多くのスポーツは、競技が集中するシーズンがはっきりしているので、たいていは年間スケジュールが前提になる。オフシーズン(off season)は、基本的な体力をつけるためにベンチプレスやスクワットといった一般的なウエートトレーニングを行う。競技会が始まる1~2カ月前のプレシーズン(pre season)は、競技種目に特化されたトレーニングを行う。インシーズン(in season)は、基礎的な筋力が低下するのを防ぐために基本的なウエートトレーニングを行う。そして、ポストシーズン(post season)は、新たな気持ちでトレーニングに取り組むために十分な休息をとる。 |
加圧トレーニング kaatsu training | ゴムのような弾性バンドで腕や脚の基部を縛って適度な圧力を筋に加え、その部位の血流を制限した状態で行う筋力トレーニング。日本人の佐藤義昭が発明したもので、加圧トレーニングの名称は佐藤スポーツプラザの登録商標。一般には加圧筋力トレーニングともいう。極めて軽い負荷の運動でも高負荷の運動と同様の効果を得られるので、関節に過度なストレスをかけることがなく、短時間で最大効果の発揮が期待できる。加圧トレーニングの最大のメリットは、運動によって起こる効果を増幅させることができる点にある。血流を適度に制限することで、筋肉はハードなトレーニングをした時と同じような状態になるので、普段は使っていない筋線維までが広範囲に活動し、その結果、多量に発生した乳酸が脳下垂体で生成される成長ホルモンの分泌を促す。その成長ホルモンが血流によって全身に運ばれ、血流を制限した腕や脚だけでなく、全身の筋肉をつくる。この成長ホルモンの分泌を促進させる加圧トレーニングは、最近、医療現場でのリハビリにも取り入れられている。 |
初動負荷トレーニング beginning movement load training ; b.m.l.training | 1995 年に日本人の小山裕史が創案した、初動負荷理論(B.M.L.theory)に基づくトレーニングのこと。シアトル・マリナーズのイチロー選手や、女子テニスプレーヤーの杉山愛選手が実践していることで有名である。反射が起こるポジションへの身体の変化、およびそれにともなう重心位置の変化などを利用し、主働筋の「弛緩-伸張-短縮」という一連の動作を促進させるとともに、その拮抗筋ならびに拮抗筋に作用する筋の共縮を防ぎながら行うマシントレーニングである。スポーツに限らず、人間の動作のもとになるのは関節であり、それを動かす筋肉は神経によって支配されている。そのため、初動負荷トレーニングの狙いは、筋肉と神経の機能や連携を改善し、筋肉がもつバネを最大限に生かす点にある。神経と筋機能の促進、血流や代謝の促進、老廃物の除去、身体のゆがみの矯正、関節や筋肉へのストレスの除去といった効果が期待される。 |
プライオメトリックストレーニング plyometrics training | スポーツにとって非常に重要な要素である、爆発的パワーを発達させるためのトレーニング法。ギリシャ語の「ply(移動する)」「metric(測定)」を語源としている。代表的なメニューであるデプスジャンプでは、高い所から飛び降り、着地後すぐにジャンプをするが、これは重力を利用して筋肉にエネルギーを蓄え、このエネルギーを直ちに別の動作に用いることで、筋肉と結合組織に最大パワーを発揮させる。筋肉の伸張速度が速いほど爆発的な力を発揮できることから、このトレーニングでは筋肉の動きがきわめて重要となる。陸上競技をはじめ、バスケットボールやバレーボール、ラグビー、野球といった球技など、スピード筋力が必要なスポーツに有効であるが、それ自体が最終目的ではなく、ストレッチ、ランニング、筋力トレーニングといったトレーニングの一部と考えるべきである。たとえば適切な筋力トレーニング、およびコンディショニングトレーニングを実施した後に行うとよい。 |
レジスタンストレーニング resistance training | 筋肉に負荷をかけることで、筋肉内のたんぱく質合成を活性化させ、筋力をアップするトレーニングのこと。スポーツをするうえで必要な、パワー、スピード、スタミナを高めるための、基礎体力の向上に役立つ。激しいトレーニングほど、筋肉繊維や筋肉細胞膜の損傷、赤血球(ヘモグロビン)の破壊などをもたらすので、次回のトレーニングを充実させるためにも、短時間でたんぱく質を合成させ、体を回復しなければならない。そのために行われるトレーニングが、レジスタンストレーニングである。 |
パワーウオーキング power walking | ドイツの陸上競技選手で、オリンピック金メダリストのハートヴィッヒ・ガウダーが考案した歩行エクササイズ。体力の向上、体脂肪の減少、筋肉の柔軟性向上などに効果がある。ガウダーは1995年に心臓病にかかったが、心臓移植後この運動でリハビリテーションを行い、ニューヨークマラソンに完走した。背筋を伸ばし、腕は直角に曲げ、歩調に合わせてダイナミックに振る。両足は腰の幅ぐらいに開き、通常の1.5倍程度の速さで、踵(かかと)から着地して爪先(つまさき)で蹴り出すように歩く。歩幅を広げたり、坂道や階段を利用して運動量を上げてもよい。距離や時間は、体調に合わせて心拍数を一定以下に保つよう調節するが、効果を最大に引き出すためには、体への負荷を正確にする必要がある。その目安を目標心拍数といい、220から年齢を引いた数値(最高心拍数)の60~75%に設定する。継続すれば体脂肪を燃焼させ、血行増進で新陳代謝もよくなるため、生活習慣病や老化も予防できる。 |
スロートレーニング slow training | 反動をまったく利用しない、ゆっくりとした動作で筋肉に負荷をかけるトレーニング方法で、略してスロトレとも呼ばれる。すばやい動作で行う筋肉トレーニングだと、全身の反動を使うことが多いため、瞬発力を引き出すのに必要な速筋は鍛えられるが、持久力を引き出すのに必要な遅筋は十分に鍛錬できない。スロートレーニングではこうした遅筋の強化のほか、鍛錬したい筋肉に負荷を集中させることで、運動効果を確実にできるだけでなく、すべての筋肉を鍛えることができるという特徴がある。スポーツ科学的には、最初に遅筋、次いで中間筋、最後に速筋のパワーを引き出すことが、スロートレーニングの目標といえる。遅筋の鍛錬は基礎代謝率を上げ、体脂肪を燃焼させる効果もある。1回あたりの動作は時間がかかるが、すばやい動作で行う筋肉トレーニングのように回数をこなす必要がないため、結果的には短時間のトレーニングですむ。 |
ニューロリハビリテーション neurorehabilitation | 損傷した神経の機能回復をめざす、新しいリハビリテーション。人間の脳を解明する、ニューロサイエンス(神経科学)を基盤としており、神経リハビリともいう。1996年、カンザス大学医学センターのランドルフ・ヌード博士が、脳梗塞(こうそく)で手指がまひしたリスザルに対し、指を無理やり動かす訓練を行ったところ、手指の機能を回復させることに成功した。これは、手指を動かす機能をつかさどる脳領域のすぐ隣にあって、手首を動かす指令を出していた神経細胞が、訓練により手指も動かすよう指令を出すようになったため、と考えられている。現在では脳卒中後の運動まひに対する訓練として、まひした手や足を強制的に動かすことが行われている。 |
ダイナミックフラミンゴ療法(DF療法) dynamic flamingo therapy | リハビリテーションや、高齢者の運動器障害の予防のために考案された運動療法。右片足立ち姿勢で1分間静止、左片足立ち姿勢に変えて1分間静止、というように左右交互に開眼片足立ちを行う。1分間の片足立ちは、足の骨に約1時間の歩行と同程度の負荷をかけることから、短時間で骨の形成を促す効果があるといわれている。昭和大学医学部整形外科の阪本桂造客員教授の研究によると、1日3回、3カ月以上にわたって続けた人の骨量をX線を用いたデキサ法(DEXA)で測定したところ、63%に大腿骨頸部の骨密度上昇が確認された。また、介護老人保健施設などの入所者553人に受けさせたところ、転倒事故の回数が有意に減少した。こうしたことから、DF療法は骨粗しょう症の人が転倒することによって起こる、大腿骨頸部の骨折予防に効果的な運動療法と考えられている。場所や時間を選ばず手軽に行えるが、高齢者が家庭などで行う時は、机やいすにつかまるなどの注意を要する。 |
シャトルラン shuttle run | 身体をすばやく動かす、敏捷性(agility)をチェックする体力測定法。往復持久走ともいう。敏捷性は野球、サッカー、バスケット、ラグビー、バレーなど、多くのスポーツに必要な体力要素である。日本では2008年に改定された文部科学省のスポーツテストから、20メートルシャトルランが、新たな項目として採用された。具体的な測定方法は、20メートル間隔で平行に引かれた2本の線の一方をスタートラインとして、合図音で他方の線へ向けて走り、足で線にタッチする。次の合図音でスタートラインへと走り戻り、同じようにタッチする。この動作を繰り返す。合図音より先に線に到達した時は、次の合図音が鳴るまで線上で待機する。合図音の間隔は、初めは長く、約1分ごとに短くなる。やがて合図音についていけなくなり、2回続けて線にタッチできなくなったら終了。判定は、最後にタッチできた回数で記録する。 |
ベアフットランニング barefoot running | シューズを使わず、裸足で走るランニングのこと。岩だらけの場所を裸足で走っても、足腰の故障が少ないメキシコのタラウマラ族に関する研究をまとめた『BORN to RUN』という本が2009年にアメリカで出版されたことで、広く知られるようになった。裸足で走ると着地時の衝撃を筋肉が吸収し、それを走りのエネルギーに変えられるようになる、というもの。具体的には、ベアフットランニングは、踵(かかと)を使って着地するスポーツシューズ着用時の走法とは違い、前足部で着地するため、着地の衝撃をふくらはぎ全体で受けとめる。そのため、オーバートレーニング症候群の一つである、ランナーズ・ニーというスポーツ障害が起きにくくなる、といわれている。 |
エゴスキューメソッド Egoscue methods | 人体の構造をあらゆる角度から分析したうえで構築された、解剖学的、生理学的、生体力学的な原則に基づく運動療法。簡単な動きやポーズによって普段は使われていない筋肉を再教育し、腰痛、肩痛、股関節痛などの体の痛みを解消させる。アメリカの解剖生理学者である、ピート・エゴスキューが、ベトナム戦争で負傷した自らの体の不調や痛みを改善するための研究途上で開発した。日常生活で使わなかった筋肉を目覚めさせ、正しい動きを忘れかけている筋肉に、動きという刺激を与え、本来の機能を思い出させる。筋肉が本来の機能を取り戻すことで、骨や関節を正しい位置に導き、体全体のゆがみをとり、痛みを解消するだけでなく美しい姿勢を身につけることができる。このように筋肉を再教育すれば、人間本来の正しい姿勢に戻れ、痛みやゆがみもとれ、そこから生じた多くの不調や健康問題も改善できる、という。アメリカでは40年以上の実績があり、プロゴルファーのジャック・ニクラウスや、世界的カリスマコーチのアンソニー・ロビンズも推奨している。 |
ファンクショナルトレーニング functional training | スポーツや運動の動きに、バランスの要素を取り入れたトレーニング法で、筋力や協調性を高める目的で行う。体の安定性やバランス能力を向上させるので、コアマッスルと呼ばれる体幹筋群の強化に大きな効果がある。理学療法の分野では、けがのリハビリテーション用のトレーニングとして以前から採用されてきたが、フィットネスの分野で注目されるようになったのは最近のことである。一般的なファンクショナルトレーニングでは、エクササイズボール、バランスボー、メディシンボール、チューブ、ミニトランポリンといった器具が使われることが多い。エクササイズとしては、バランスボード上で行うスクワットや、エクササイズボール上で行うダンベルエクササイズなどがある。海外からの研究報告によると、エクササイズボール上でクランチ(腹筋運動)を行うと、床の上で行った時より腹筋と下背部の筋群の活動量が大きく、バランス能力が向上したという。また、ひざの伸筋と屈筋のトレーニングを安定した面と不安定な面で行わせると、どちらのグループも筋力が向上したが、不安定な動作面で行ったほうが左右の筋力の差が少なかった。 |
コーディネーショントレーニング coordination training | 運動神経を鍛えるトレーニングのこと。コーディネーションとは、スポーツ科学分野で「運動がうまくいくように、運動神経をまとめあげて調節する、運動能力の一つ」と定義している。1970年代に旧東ドイツで提唱され、アメリカやヨーロッパでは、サッカーなどの競技スポーツ選手を養成するのに利用されてきた。最近では高齢者、障害者、幼児の運動指導にも活用されている。運動のメカニズムは、感覚器官で認識した情報が神経によって脳へと伝達され、脳がその情報を処理し、命令した判断に応じて、筋肉や骨格などの運動器が反応する、という一連の神経系の働きと関係している。この一連の働きを、素早く正確に処理できるのが、運動神経のよい人ということになる。コーディネーションは、位置関係を把握する定位能力、状況に合わせて動作する変換能力、体をスムーズに動かす連結能力、状況に適切に対応する反応能力、正確に操作する識別能力、タイミングをつかむリズム能力、体勢を立て直すバランス能力という7つの能力から成立している。これらの能力は運動だけでなく、音楽やダンスなどとも関連している。 |
国立スポーツ科学センター(JISS) Japan institute of sports sciences | 日本のスポーツの国際競技力向上を目的に、2001年に東京都北区に設置された、スポーツ科学と医学の研究機関。1981年に設立された、オーストラリア国立スポーツ研究所がモデルといわれる。周辺にはナショナルトレーニングセンター、国立西が丘サッカー場(味の素フィールド西が丘」)、研究施設、トレーニング施設、サービス施設などが集約されている。組織的には、日本スポーツ振興センターの組織下におかれ、スポーツ科学研究部、スポーツ医学研究部、スポーツ情報研究部、運営部からなる。スポーツ振興基本計画の政策目標を達成するために、各種のスポーツ競技団体やスポーツ研究機関などと連携して、トップレベルのアスリートの支援を行っている。いまやスポーツは、最先端のサイエンスに支えられている。筋力トレーニングやメンタルトレーニングはスポーツ医学、シューズや水着などの素材はスポーツ科学の成果が競技成績を左右する。ソウル、アトランタ、バルセロナ、シドニーの五輪4大会で15個だった金メダルが、2004年のアテネ五輪では一気に16個も獲得できたのは、本センターを創設した成果といわれている。利用は、基本的には日本オリンピック委員会(JOC)、およびJOCに加盟する競技団体に限られるが、一部施設は外国人を除いて一般にも開放している。 |
以上
参考
イミダス